出産手当金とは|育休給付金との違いを理解する
出産手当金とは、健康保険に加入している会社員・公務員が産前産後休業(産休)を取得した際に、健康保険から支給される給付金です。
「育児休業給付金(雇用保険)」とは財源が異なる別の制度です。
産休期間は労働基準法で定められており、産前は出産予定日の6週前(多胎の場合は14週前)から、産後は出産翌日から8週間です。
この期間中、会社から賃金が支払われない場合に出産手当金が支給されます。
出産手当金と育児休業給付金は時期的にも重複せず、産休が終わると育休が始まるタイムラインになっています。
出産手当金は産後56日目まで、育休給付金は産後57日目(育休開始)からが原則です。
この2つを合わせると、産前約6週から子が1歳(最長2歳)まで給付金が受け取れる仕組みです。
産院をお探しですか?
全国の産婦人科・産院をエリアや分娩方法で絞り込んで比較できます。
支給額の計算方法
出産手当金の1日あたりの支給額は「標準報酬日額 × 2/3(約67%)」で計算されます。
標準報酬日額は標準報酬月額を30で割った金額で、産休開始前12ヶ月間の標準報酬月額の平均をもとに算出されます。
たとえば月給30万円の場合、標準報酬日額は30万円 ÷ 30 = 1万円、出産手当金は1万円 × 2/3 ≒ 6,667円/日です。
産前42日+産後56日 = 98日分で計算すると、合計で約65万3,000円になります。
出産日が予定より遅れた場合(例:10日遅れ)、産前の受給日数が42+10 = 52日に増えるため、総受給額も増えます。
逆に早産の場合は産前の日数が減りますが、産後56日分は必ず支給されます。
出産手当金 vs 育児休業給付金 比較
両制度の最大の違いは財源と対象者です。
出産手当金は健康保険(協会けんぽまたは健保組合)から支給され、健康保険の被保険者であれば受給できます。
育児休業給付金は雇用保険から支給され、雇用保険の被保険者が対象です。
退職後でも出産手当金が受給できるケースがあります。
条件は「退職日まで継続して1年以上健康保険に加入していたこと」と「退職日が産前産後休業中でないこと(つまり産前6週を過ぎる前に退職していること)」です。
退職後の継続受給は産後56日の終了まで認められます。
産院をお探しですか?
全国の産婦人科・産院をエリアや分娩方法で絞り込んで比較できます。
申請手続きの流れ
申請書類は「出産手当金支給申請書」(協会けんぽや健保組合のHPからダウンロード可)で、産婦人科医または助産師に「医師・助産師の意見書」欄を記入してもらう必要があります。
その後、会社(事業主)が「事業主の証明」欄を記入して協会けんぽに提出します。
申請のタイミングは産後(産後56日の休業終了後)に一括申請するケースが多いですが、産前分と産後分に分けて2回申請することも可能です。
提出から約2〜3週間で口座に振り込まれます。
申請期限は支給事由が消滅した日(産後56日の翌日)から2年以内です。
請求を忘れた場合でも期限内であれば遡って申請できます。
双子・多胎・帝王切開の場合
多胎妊娠(双子・三つ子など)の場合、産前の受給期間が42日から98日に延長されます。
産後56日分と合わせると最大154日分の受給が可能です。
帝王切開の場合も正常分娩と同様に申請できます。
ただし帝王切開は「分娩日」の取り扱いが自然分娩と異なる場合があるため、医師に確認の上申請しましょう。
手術日が「出産日」として扱われ、産後56日はその翌日から起算されます。
流産・死産の場合も妊娠12週(84日)以降であれば出産手当金の対象になります。
出産手当金は「出産」を要件としており、法律上は12週以降の出産(人工中絶含む)は出産手当金の対象です。
よくある質問(FAQ)
産休中に会社から給与が一部支給された場合はどうなりますか?
産休中に会社から給与が支給された場合、その金額によっては出産手当金が減額または不支給になります。
具体的には、会社からの支給額が出産手当金の額を下回る場合は、その差額が支給されます。
会社からの支給額が出産手当金以上の場合は支給されません。
産休中の給与は会社によって異なるため、人事部門に確認してください。
国民健康保険(国保)加入者は出産手当金をもらえますか?
原則として国民健康保険には出産手当金制度がありません。
ただし、一部の自治体では国保加入者向けに独自の出産支援給付金を設けている場合があります。
また、会社を退職して国保に切り替えた場合でも、先述の継続給付の要件を満たしていれば元の協会けんぽから受給できる可能性があります。
産休を取らずに働き続けた場合はもらえますか?
産後42日(産後8週)を過ぎる前に就業した場合は、就業した日分については出産手当金が支給されません。
産後42日は医師が許可した場合を除き就業できないため(労働基準法第65条)、実質的には産後42日以前は就業できません。
産後43日目以降(6〜8週間)については医師の許可があれば就業可能ですが、就業した日分は不支給になります。