「前回は帝王切開だったけど、今回は自然分娩で産みたい」——そう思うプレママのために、VBACについて詳しく解説します。
VBAC(ブイバック)とは「Vaginal Birth After Cesarean」の略で、帝王切開後の経腟分娩(自然分娩)のことです。
条件を満たしていれば挑戦できる可能性がありますが、子宮破裂という特有のリスクがあるため、専門施設での管理が不可欠です。
VBACとは?成功率の目安
VBACは、帝王切開の既往がある女性が次の妊娠で自然分娩を試みることを指します。
日本では以前は「一度帝王切開したら次も帝王切開」という方針が一般的でしたが、近年は条件を満たす場合にVBACを積極的に勧める施設も増えています。
VBACの成功率の目安
- 全体の成功率:約60〜80%
- 自然陣痛が来た場合:約70〜80%(成功率が高い)
- 陣痛促進剤を使用した場合:約50〜60%(子宮破裂リスクも上がる)
- 過去に経腟分娩の経験がある場合:成功率がさらに約20%高くなる
VBACの成功率は、前回の帝王切開の理由が「今回も当てはまるかどうか」に大きく左右されます。
逆子で帝王切開になったが今回は頭位(正常位)になった、というケースでは成功率が高くなります。
産院をお探しですか?
全国の産婦人科・産院をエリアや分娩方法で絞り込んで比較できます。
VBACが可能な条件・難しいケース
VBACを試みるには、医学的な条件を満たしている必要があります。担当医が前回の手術記録を確認して判断します。
VBAC可能な条件(目安)
- 前回の帝王切開が下段横切開(横の切り方)だった——縦切開より子宮破裂リスクが低い
- 前回の帝王切開から少なくとも18ヶ月〜2年以上経過している
- 前回の帝王切開の理由が今回は当てはまらない(逆子が治った、など)
- 今回の妊娠で帝王切開の適応(前置胎盤・多胎など)がない
- 緊急帝王切開に24時間対応できる施設で管理を受けられる
VBACが一般的に難しいケース
- 前回の帝王切開が古典的帝王切開(縦切開)だった——子宮破裂リスクが高い
- 帝王切開が2回以上ある——回数が増えるほど瘢痕が多く子宮破裂リスクが上昇
- 今回の妊娠でも逆子・前置胎盤・多胎などの帝王切開適応がある
- 子宮の傷の状態が不良(超音波で子宮壁が薄いと確認された場合)
VBACの最大リスク|子宮破裂
VBACを語るうえで避けられないのが子宮破裂のリスクです。
子宮破裂とは、帝王切開の傷(瘢痕)が分娩中の圧力に耐えられず裂けてしまう緊急事態です。
子宮破裂の発生率
VBAC試行中の子宮破裂発生率は約0.3〜0.8%(300〜1000件に2〜8件程度)とされています。
発生率は低いですが、起きた場合は母児の生命に関わる緊急事態であるため、即時対応できる施設での管理が絶対条件です。
子宮破裂が起きた場合の症状
- 突然の激しい腹痛
- 胎児心拍の急激な低下(CTGモニターで確認)
- 母体の血圧低下・出血
これらのサインが現れたら、数分以内に緊急帝王切開が行われます。
CTGモニタリングを継続しながら、異常を即座にキャッチできる体制が整っていることが必須です。
産院をお探しですか?
全国の産婦人科・産院をエリアや分娩方法で絞り込んで比較できます。
VBACか繰り返し帝王切開か?比較して考える
VBACを試みるか、最初から帝王切開にするかの選択は、担当医と十分に相談して決める必要があります。
どちらが「絶対的に良い」ということはなく、個々の状況によって最善の選択は異なります。
VBACを選ぶメリット
- 手術を避けられるため、産後の回復が早い
- 入院期間が短く、費用を抑えやすい
- 次回以降の妊娠で子宮癒着のリスクを積み重ねずに済む
- 「自分で産んだ」という達成感・充実感が得られやすい
繰り返し帝王切開を選ぶメリット
- 子宮破裂リスクを回避できる
- 分娩日程が計画でき、上の子のケアや職場への連絡が調整しやすい
- 精神的な不安が少ない(VBACは試みが「失敗」する可能性があることへの不安)
VBAC成功率を高める5つのポイント
VBACを選択した場合、成功率を高めるために以下のポイントを意識しておきましょう。
- 前回が横切開:縦切開に比べ子宮破裂リスクが低いため、VBACの選択肢として検討しやすい
- 前回の理由が再発しない:「逆子が治った」「今回は多胎でない」など、前回の帝王切開の理由が今回は当てはまらないケースが最も成功率が高い
- 経腟分娩の経験がある:過去に一度でも自然分娩の経験があると成功率が約20%上昇するとされています
- 十分な間隔:前回帝王切開から最低18ヶ月、できれば2年以上経過していることが望ましい
- 実績ある施設での管理:VBAC管理の経験が豊富で、緊急帝王切開に24時間即対応できる施設を選ぶ
VBAC対応産院の選び方
VBACを試みる場合、施設選びは子宮破裂への対応能力と直結しています。以下の点を必ず確認しましょう。
① 24時間の緊急帝王切開対応
子宮破裂は夜中・休日を選ばず起こります。麻酔科医が常駐し、手術室がいつでも稼働できる体制が整っていることが最低条件です。
「緊急帝王切開まで何分で対応できますか?」と直接聞いてみましょう。
② VBACの実績・医師の方針
VBAC管理の経験が豊富な担当医に出会えるかどうかが成否を大きく左右します。
初診時に「VBAC希望です」と伝えて、担当医の反応と考え方を確認しましょう。
③ 継続的なCTGモニタリング
VBACの分娩中は、胎児心拍異常をいち早くキャッチするために継続的なCTG(分娩監視装置)モニタリングが推奨されています。
④ 前回の手術記録を持参する
前回の手術を受けた施設から「手術記録書」を取り寄せておきましょう。切開方式・縫合方法など、VBACの可否判断に必要な情報が記載されています。
よくある質問(FAQ)
Q. VBACを希望したら必ず試みさせてもらえますか?
A. 医学的な条件を満たしており、施設の方針としてVBACに対応していれば試みることができます。
ただし、担当医がリスクが高いと判断した場合や、施設が24時間緊急帝王切開に対応していない場合は勧められないこともあります。セカンドオピニオンを求めることも選択肢のひとつです。
Q. VBACに失敗した場合はどうなりますか?
A. VBAC「失敗」とは、VBACを試みたが途中で緊急帝王切開に切り替えた場合を指します。
試行中に子宮口がなかなか開かない・分娩が停止した・胎児心拍異常が見られたなどの場合に、安全のために帝王切開に移行します。
この判断は適切な医療行為であり、失敗ではなく「安全を優先した選択」です。
Q. VBACは費用が高くなりますか?
A. VBACで経腟分娩に成功した場合は自然分娩と同様の費用(保険適用外・出産育児一時金対象)になります。
VBACを試みた結果、緊急帝王切開になった場合は健康保険が適用されるため、費用が変わります。民間保険の手術給付金が適用になる場合もあるので事前に確認しましょう。
まとめ
VBACは条件を満たせば高い確率(60〜80%)で成功しますが、子宮破裂という特有のリスクがあるため、24時間緊急帝王切開に対応できる施設での管理が不可欠です。
「自然分娩で産みたい」という希望は十分に尊重されるべきものですが、安全が最優先です。
担当医と十分に相談し、前回の手術記録を持参したうえで「自分の状況でVBACは可能か」を丁寧に確認することが第一歩です。
うぶごえナビでは、VBAC対応施設・高次医療機関と連携している産院を全国から探すことができます。